マリア様

2000/08/02


私が幼稚園の時の話です。

私の通っていた幼稚園は、カトリック系の聖母幼稚園でした。
園長先生(男)は外国人で、私が初めてみた青い目を持つ人間でした。
園長先生は体の大きな人でしたが、物凄く優しい人でした。
滅多に怒りません。

但し、私の様な悪ガキは担任の先生(女:普通の保母さん)の言うことなど聞かず、いたずらし放題でしたので、園長先生にはよく怒られました。
業を煮やした園長先生らは、私を捕まえて

”お仕置き室”
(誰も入ったことが無かった場所)

に入れてしまいました。

そこは小さな部屋でした。
四方に小さな窓が有りステンドグラスがはめ込まれていて薄暗く暗い感じの部屋でした。
また、四方の壁には、キリスト様の処刑、復活等の絵が掛けられていて幼稚園児には厳しい環境でした。

私は泣きまくりました。
しかし、お仕置き室です。なかなか出してくれません。
いつしか泣き疲れて寝てしまいました。

ふと気が付くと私の胸を優しく

”ポン、ポンッ”

と叩いてくれている女の人がいることに気づきました。
私は、その人に膝枕をされながら横たわり優しく胸を叩かれていました。

”母さんかな”

と思いましたが、その女の人の顔を伺うと青い目の外人の綺麗な女の人でした。
物凄く気持ちが良く、幸せな気持ちになりました。
その後また、深い眠りに入ってしまいました。

「○○ちゃん。起きて。」

担任の先生と園長先生が私の傍らに立っていました。

「あれ。」

周りを探しましたが、先ほどの優しい女の人を見つけることは出来ませんでした。

「ぼくねぇ。さっき、女の人といたんだ。」
「そうなの。」

担任の先生は、相手にしてくれません。

「さあ、園長先生が許してくれたから出よう。」

その部屋を出ました。
その時、振り返った正面の壁に1枚の絵が有りました。
その絵の中には、先ほどの女の人がいました。
その人は、マリア様でした。
(絵の中のマリア様の目が青かったかは覚えていません。)

話が出来過ぎているようですが、確かにマリア様でした。
今でも(今は、無神論者)あの時、泣きじゃくる私を見かねてマリア様が来てくれたと思っています。

この幼稚園で、お仕置き室に入ったのは当時、私だけだったそうです。

あの時は、ありがとうございました。アーメン。



<無神論者のマルさん>