燃料タンク

 


 高校時代の話です。

「おい!事故車が有るぞ!」

私の友達(高校中退)が来て私を誘いました。
何をするかというと、オートバイの事故車の部品を拾いに行くことです。(実際は、”かっぱらい”に行きます。)
友人のオートバイは、カワサキのマッハU(SS500)でしたが丁度、マッハUに会うカワサキのオートバイが、事故ってました。

事故はかなりのひどかったようですが燃料タンクが多少の傷が有るものの奇跡的に使用可能状態でした。(自分のオートバイの燃料タンクよりはきれいでした。)
私と友人は燃料タンクと多少の部品を取得して、家路に着きました。
その後、燃料タンクをきれいに塗装し付け替え、町中を1周りする為、2人乗りで出かけました。

私は、走っているオートバイのどこかから”ギギギギィ”と異音がしていることに気づきました。友人も気にしている 様です。私は、後ろに乗っていたので音の音の出てる場所を探しました。

「おい。これ見てみろよ。」

友人は、燃料タンクを見ろといいます。私は、友人の肩越しからそれを見ました。

”ギギギィー”と音を出しながら燃料タンクは ゆらゆら 揺れています。

「帰るぞ!」

私たちは、急いでうちに帰り、燃料タンクを外して、元の事故現場に燃料タンクを戻しに行きました。

「きっと、あの事故車の持ち主は死んでいるんだぜ。」
「俺らに、頭にきて脅かしたんだよ」

などと話して帰ろうとした時、また、”ギギャギギィー”とひときは大きなあの音が響きました。

「おわー」

と叫びながら、単車に乗り込み逃げるようにその場を離れました。後ろを見ない様に。
あの時、”後ろだけは見てはいけない”と心のどこかで言っていたような気がします。
私たちは決して後ろを振り向きませんでした。

もしも、後ろを振り返ったら..。考えたくありません。