因縁の土地
ある日、親戚のおばさんが家に来ました。
「あんな土地買える訳無いじゃないの」
と少々起こり気味で母親と話しています。おばさんは霊感がちょっと強い人です。
おばさん夫婦は、結婚した子供の為に今住んでいる家を明け渡し、自分たちは小さな家を建てる為に土地を探していました。
「不動産屋に行ったら、良い土地が有って案内して貰ったのよ」
おばさんが言うには、金額としては妥当な土地を地元の不動産屋で見つけました。
早速、不動産屋と見に行ったのですが現地に着いてその土地を見ると沢山の生首が一斉におばさん達一行を睨んでいたそうです。不動産屋さんとおじさん(おばさんの旦那)は、全く気が付かない様子で平気で売地の中に入って行きます。
その2人に対して物凄い敵対心を表し今にも飛びかかりそうな生首をみて、
「お父さん、やめやめ。この土地は駄目」
と言って引き留めました。
おじさんは、不動産屋に失礼であるとおばさんに対してかなり怒ったそうです。不動産屋も
「いいですよ」
と言っていたが内心、かなり気分を害したようです。
その帰り、おじさんと別れて家に寄って私の母親に愚痴っていました。
「あそこは、何か有るね」
「でも、そんな噂は聞かないね」
などと話していました。
数日後、再び、おばさんが来て、
「あの土地の事だけど、私どうしても気になったから調べたんだよね」
おばさんは、沢山の生首がいたあの土地の事が気になり知人、友人に手がかりが無いか聞き回ったそうです。
結果、近所のおばあさんから有力な情報を得たそうです。
「そういえば、鎌倉時代にこの地方を納めた人の墓が有るよね。あの近所に処刑場が有ったって聞いたことがあるよ」
おばさんは、図書館に行きその豪族の歴史を調べた結果、場所は特定はできないのですが処刑場は有ったと言う事実を知ったそうです。
「処刑場だからあんなに生首が有ったのね」
「やだねぇ」
その時、おばさんが私に忠告してくれました。
「いい、土地を買うときは見た目や回りの華やかさで決めては駄目。やはり、昔からの因縁がある土地と言うのが有るんだからね。土地を買うときは、一応、その土地にまつわる出来事も気にした方がいいからね。あんな土地を買ってたら命がいくつ有っても足りないよ」
これは、ちょっとショックでした。なぜなら、私には霊感とかないし土地を買う時にその歴史まで調べなくてはいけないなんて考えられないことです。
でも、おばさんがいれば安心かと思い
「私が土地買う時は、おばさんも見てね」
と言うと
「いや」
と一言だけでした。
激安とかの場合は、”何かあるな”と思えますが、全く普通の条件なのに何か因縁めいた土地が有るという事実に驚かされました。
これから、土地を買うことを考えている人は気を付けてください。
<里美さん>