ホテルの女

2013/10/27



1984年 私は単身で韓国の大手企業(今も大企業、TVとか作っている)へ
1ヶ月間、出張のため韓国のソウルへと出かけました。

当時は、空港に到着すると
「窓のブラインドを下げてください。」と着ないアナウンスがあり
空港の全貌が外国人に知られないようにしていました。
空港からホテルまで大きな川を渡るのですが、橋の途中で検問を
していて、小銃を持った兵士がタクシーの運転手にないやら話しています。
私はそっと運転手に現金を渡し、それを兵士に渡すとすんなりと通して
くれる、そんな時代でした。

ホテルに着き受付を済ませ部屋まで向かいます。
エレベータを降りると椅子に座った警備員の男性がいます。
彼らは各フロア、不審者が侵入しない様に警備しています。

翌日、打ち合わせと歓迎会とで泥酔状態の私はホテルへ戻りエレベータに
乗り込みます。
エレベータが指定階に到着すると警備員が椅子に座っています。
昨日と同じ50歳くらいの警備員ですが今夜は肩に手をかけてうな垂れている
20歳位の女性がいます。
内心、「この親父は不謹慎だな。」と思いましたが軽い挨拶をして部屋に向かいました。

次の夜、ホテルへ戻りエレベータを降りると昨日と違う警備員だったのですが
同じ女性が後でニコニコしています。
軽く会釈するすると「こんばんは」と日本語のできる男性でした。
私も「こんばんは」と挨拶します。
後の女性はニコニコしています。
「日本がわかりますか」
「ちょっとわかります。私は、シンといいます。」
「私は、○山といいます。」
「いつまで滞在ですか」
「1ヶ月くらい居ます。」
など話をしましたが、後の女性はニコニコして相槌を打っているだけなので
「後の女性は?お名前は?」
「私は、シンといいます。」
「いいえ、後の女性ですよ」
「後の女性?居ませんよ。」
こいつ何言ってるんだと思いましたが、
「その方ですよ」
と指差す方向を見た警備員でしたが怪訝な顔をするだけで
「誰も居ませんよ」と。
頭にきた渡しは女性の腕を掴もうと手を伸ばすと女性はス〜と
消えてしまいました。
その時、警備員が、
「日本の方は、いつもその様なことを言うけど何なんですか」
と覚めた目で私を見ます。

おちも何もありませんが、私が翌日ホテルを替えたのは言うまでもありません。




<○山さん>


ASUKA  ASUKAのお店