私を見ている

2008/05/11


こんにちは、初投稿させていただきます、さちです。
今私は中学3年生なんですが、私が小学校5・6年生のときに体験した
ことをお話したいと思います。

私は、小学校2年生の春休みに転校し、父方の祖父母と同居していた
家を離れ、そこから20分ほどの一軒家に引っ越しました。
私と母と妹が寝ている部屋は、3階の南の部屋でした。
頭の上にはベランダがあり、足元を見るとすぐ壁でしたが、
その壁は都合でクローゼットのように収納できるような、
折りたたみ可能な壁でした。
その壁をたたむと、隣の部屋と南の部屋がつながって、
ひとつの部屋になるというわけです。
足元の部屋には父が一人で寝ていましたが、冷房が南の部屋にしか
ついていなかったので、毎日その壁は折りたたんだまま、
4人で寝ていました。
さて、前置きが長くなりましたが。
私は3人の真ん中に寝ていました。足元から何か物音がするな、
と思い、すぐに目を覚ましました。
「父さんがなにかやってるのかな…」と、起き上がらずに頭だけ
おこして足元を見ると、父が寝ている部屋の、開けていた扉から
半分だけ、髪の長い、白装束を着た女の人が立っていたのです。
ぎょっとしてよく見ると、女の人の顔は、まるで仮面のように、
眼が弓状につりあがっていて、口も、耳まで避けて、弓のように
笑っています。
小説に、ナイトバロン、という男爵が出て来るのをご存知でしょうか。
その男爵がつけているような仮面の顔が、じっと私を見ているんです。
表情を変えずに、つりあがった眼と口のまま…。
怖くなって、すぐ布団にもぐりました。
あの女の人はなんだったのでしょうか。翌朝母に聞くと、
「あんまり気にしなや?浮遊霊かもしれへん…」とか言われましたが、
実はそれから何回かその女の人を見たことがありました。
そのことを何回も言うと、「…もしかしたら、さちをまもってくれてるんかもしれへんよ?」って言ってくれました。
確かに私は、怖い意識しかもっていませんでした。
でも、よく考えるとその女の人は、いつも私を遠巻きに見ているだけで、
誰かが怪我したとか、病気になったとか、そんなこと全然ありませんでした。

中学3年生になったいまなら、素直に思えます。
「あの女の人は、きっと私を見守っていてくれたんだ」って…。

怖い仮面の下に、死んでもなお生き続ける人の優しさというものを
垣間見たような気がしました。



<さち さん>


★ブログの革命児!動画アップロード機能からアクセス解析も搭載!常に時代の先をいくDTIブログ!