心霊写真

 


小学校2年の時の話です。

「今日、家に遊びに来ない。」
「いいよ。」

いい物があるらしく心躍らせて友達の家に遊びに行きました。

「お化けの写真が有るんだ」

小学校2年の頃ですからお化けと言えばゲゲゲの鬼太郎に出てくるようなマンガ的な物を想像してドキドキしていました。そして見せられたのは1枚の白黒写真でした。

「これ、日光の華厳の滝の写真だけど、ここに写ってるよ」

その写真は、華厳の滝を正面から写した写真でした。滝の落ち始めの両側に大きな岩が有りその右側の岩の上に白い物が見えます。よく見ると、白い着物を着ている女の人が写っていました。予期せぬ写真に対して非常に大きなショックを受けました。

「ほら、この虫眼鏡で見てみなよ」

渡された虫眼鏡でその白い女の人を見ました。ハッキリとはしませんが目鼻立ちも見て取れます。私は何かに憑かれる様にその女の人に見入っていました。

「な、怖いだろう」
「すげー怖いよ。この女のひとの笑い顔を見ると鳥肌が立つよ」
「え。顔は分からないはずだよ」

もう一度虫眼鏡で写真を見ました。よく見ましたが今度は顔の輪郭だけで顔は判別できません。でも、確かに薄笑いを浮かべた女の人の顔は頭に焼き付いています。

「俺、もう帰る。」

私は、ものすごく怖くなり急いで帰宅しました。 その晩、ご想像の通り、夢に現れました。
写真と同じ風景で女の人は何か言っています。聞き取れないが何かを訴えています。どうも、”写真がどうだか”といっている様でした。

次の日、その友達に夕べの話をしました。すると、

「あの写真ね、今朝、父さんが焼いちゃったんだ。何で焼いてるのと聞いたけど教えてくれなかった。」

今思うに、あの時、友達の父さんも私と同じ様な事が起こったのでは、と思っています。確かにあの女の人は笑っていました。