鈴の音

2003/01/24


高校のときのことなんで、今から20年近く前のことです。
私は、演劇部に入っていました。
その日は、舞台練習の日で、放課後、体育館に集まることに
なっていました。私達1年生が何人か来ただけで、
2年生や3年生の先輩達は、まだ来る様子がありませんでした。
することもないので、くだらないお喋りをしていると、
一人が「怖い話をしよう」と言い出しました。
その子、アケミは、とっても怪談が好きで、よく話してみんなを
怖がらせている子でした。私も、怖い話は好きだったし、みんなも賛成して、怖い話
をはじめました。
学校の7不思議に始まって、いろんな話をしていきましたが、
目の前で、バスケット部が練習をしていて、
あまり緊張感がありません。
「もっと雰囲気が出るとこ、ない?」
ルミが言いました。
「あそこがいいよ」
ノリコが指差しました。
そこは、舞台の照明や音響を操作するための部屋でした。
確かにそこなら、防音になっているし、戸を閉めれば、真っ暗になります。そして、
先輩達が来たらすぐ集合できる、格好の場所でした。
舞台の脇の狭い階段を上って、一人ずつ部屋に入りました。
窓を閉めると、本当に真っ暗でした。
ウソの様に静かです。
そして、話を再開しました。
「そう言えば、西トイレ、あるでしょ。あそこって、水を流すと、どこからともなく
鈴の音がするんだって。」
ルミが、話していたときです。
ちり〜ん  ちり〜ん
鈴の音がしました。
「なんか、鈴の音、しない・・・?」
恐る恐る、ヒサミが言いました。
私にも、聞こえています。
「わかった。アケミでしょ。さっき、鈴持ってたの、知ってるんだ!」
ノリコが言いました。
なあんだ、とみんなほっとしました。
でも、まだ、ちりーん、ちりーん・・・と、鈴の音は続いています。
「アケミ!もうやめてよ、気味が悪いから。」
ルミが怒っていったときです。
黙っていたアケミが、いいました。
「えへへ、ごめん。でも、私、鈴、舞台のところにおいて来ちゃった・・・」
・・・・・・・・・
まだ、ちりーん、ちりーん・・・と聞こえていました。
「じゃあ・・・誰?」
きゃあああああああ!!!

みんな我先に押す押すな、で、舞台に逃げ降りてきました。
「さっき、絶対に聞こえたよね!」
みんなが確認しあいました。

鈴は、確かに、舞台に残っていました。

では、また、投稿致します。


<みんみんさん>