修学旅行

2003/01/21


中学3年になった時、やたらと親しげに近寄ろうとする女の子がいました。

修学旅行の班を決める時にMは 「○○と一緒じゃなきゃ行かない」 と言い出しました。
普段はおとなしい子だけにビックリしましたが、 先生にも頼まれ、断る理由も無いし一緒の班で行動することになりました。

一泊目の旅館の部屋に入ったとき、誰かいるような気配がしました。
8畳程度の部屋に、板敷きの縁側がついて、一面鏡が置かれていました。
みんなグッスリ眠っていました。
私はふと目を閉じたまま目が覚めました。
何か様子が変です。
目を閉じているのに部屋の様子がはっきりわかります。
若い女の人が縁側のあたりからこちらを伺っています。
その人はゆっくりと 部屋の方にやってきて、私の隣に寝ているMの所で立ち止まりました。
Mを覗き込んでいます。
急にMの上にのしかかり首を絞め始めたのです。

私はビックリして動こうとしますが、金縛りにあって動けません。
Mが苦しそうにもがいていました。
金縛りにあったときは、一点に意識を集中させると解けると聞いたことが ありました。
私は眉間に意識を集中させ始めました。
すると彼女は恐ろしい形相で私を睨みつけ、今度は私の方に覆いかぶさって 来ました。
一瞬体重を感じたあと、彼女は消えてしまいました。

Mと顔を見合わせ無事を確認し合いました。
二人で気配の残る鏡を覗き込むと、そこにはあの女の人の顔が映っていたのです。
私たちは驚いて、鏡に手近な服を掛けました。
Mの話によるとMの母方の家系は霊感が強く、旅行に行こうものなら大変な目に 会うことが多かったそうです。
それで一年の時から修学旅行には行きたいけれど諦めていました。
2年の体育大会の時に叔母さんが 「彼女と行けば大丈夫よ」 と私を指して言ったそうです。
それで一緒のクラスになった時はしめた!と思ったと言うのです。

2日目も3日目も何事も無く修学旅行を楽しむことができました。 「今度ウチに泊まりにこない?」 と誘われ泊まりに行った時にも怖いことがありましたが、 それはまた今度話します。


<k.mさん>