カーナビ

2002/08/18


少し遠出してよせばいいのに心霊スポットに行って来た時です。

古本屋で買った心霊本を頼りに最新式のカーナビに場所をセットして 向かいました。
一緒の彼女も最近のマンネリ化もあって少し興奮気味です。
最近のカーナビってすごいと実感します。
目的地を指定すればそこまで誘導してくれるのですから。
勿論、操作は僕だけです。

彼女は女性特有のメカ音痴。
2つ県をまたいで目的地に向かい無事(?)にその場所に着きました。
まぁ、それなりに雰囲気のある場所でしたが何せ人が多くて少し興ざめでした。
その後、帰宅のため自宅の場所にカーナビをセットしました。
そのスポットから近くの街まではかなりの距離があります。

「ねぇ、さわっていい。」
「何を?」 「カーナビ。」
「いいけど。大丈夫。」

返事はありません。
なにやら操作していますが使い方を知らないので少し心配でしたが特に好きなように やらせました。

一通り触った後、目的地が違っていると面倒なので再度確認してカーナビの指示に 従って車を走らせます。
始めての道なのではっきりは分からないのですが何となく来たときと違うような 気がします。
しかし、山の中の道だし回りは木々が生い茂っているので特に違うと 確信する目印もありません。
そのまま進みます。
時折ぶつかる分かれ道を右に曲がり左に曲がりして進みますがカーナビの指示通りに 進んで行きます。
その時、大きな”蛾”でしょうか、フロントガラスに”バキッ”と言う感じでぶつかり フロントガラスがその体液で”べちょ”となってしまいました。
ウォッシャー液で流そうとも思いましたがその後の状態を考えると一度ティッシュで 拭こうと思い道の真ん中に停車しました。
山の中ですし前後に車の存在はないのでそのまま停車しました。
その時、始めて気が付きましたがちょうどその場所は今通って来た道の終点の 少し開けている様な場所になっていて、ほんの2、3m下は断崖絶壁になっていました。
何となく寒気がして夢中で車内に戻り彼女を見ると彼女はうなだれて寝てしまっています。
カーナビを見ると今まで前進するようになっていた矢印がくるくる回っています。

何とか方向転回して道を戻りました。
その間、寝息ともつかないような感じで、

「ふー、ふー、むふむふふっ」

と彼女の側から聞こえてきます。
自分の彼女ながらもの凄い恐怖感に襲われながらある分かれ道にさしかかりカーナビを 見るともう一方を示していました。

私見ですが、あのとき彼女がカーナビをいじっていた辺りから何か変な感じになって いたのかもしれません。
そう言えば、始めての道で緊張もあったのかもしれませんが、 あのときから彼女と会話をした記憶が有りません。


<雅巳さん>