プサン

2001/10/04


以前、仕事の関係で韓国のプサン(釜山)へ出張したときです。 5,6年前です。

季節は夏、昼間のハードワークの反動から夜は酒浸りとなりました。
最初は、一流どころのホテルに泊まっていたのですが毎晩のお酒でかなりの金額を 浪費してしまいました。
ホテルは、クレジットカードで払えばいいのですが帰国後の請求を思うと憂鬱になります。
そこで、ホテルのランクを落として現地の人たちが利用しているホテルに宿泊することにしました。
ツインの部屋でしたが電灯が洒落た(汚いが)傘に裸電球となっていて、ホテルの部屋 というよりは昔の安アパートの四畳半(裸電球イコール四畳半と思っています。)と いう感じがしていました。
現地の人が利用しているというだけ有って、日本人はほかにいないようです。
少し恐いので(強盗とか)鍵は厳重に掛けるようにしていました。
夜中、喉が渇いて廊下に出ると異様な薄暗い雰囲気と”連れ込み?”と思うほど女性 の艶めかしい声があちこちから聞こえてきます。
なんとなく、犯罪の予感(思い過ごしです。)がしたため、部屋でじっとしていました。
テレビを見ても意味が分からないのでそのまま寝ました。

その夜、いやな夢を見ました。
ものすごい重たい空気の中、私は飛行機の中にいます。
アナウンスで着陸体勢に入ったことを告げています。
周りには、何人かの人たちがいるのですがみんな前のいすの背もたれを”ボー”と見ています。
若い男女も、おじさん、おばさん、子供たちも皆同じ格好で座っています。
私は、窓際に座っていたので窓の外から下界を見ています。
そろそろ名古屋空港(利用していました。)に着くという時、何故か滑走路が見えました。
普通は見えませんが、

「おっ。滑走路が見える。」

と思いました。
確かに、映画などである様に長い滑走路が三角形の様な形で見えています。
もうすぐ、着陸というときに滑走路に何かうごめくものが見えます。
何だろうと思ってよく見ると滑走路から何万本もの腕が生えていてザワザワと動いています。

「わー。何だ!」

とものすごい恐怖感から周りの人に知らせようと機内に目をやると私以外の全員がうつろな目で 私を見ています。
私は言葉を失い....。
と言うところで目が覚めました。

ものすごい嫌な、後味の悪い思いをしてその夜は結局そのまま朝を迎えました。
朝一番にチェックアウトを清ませ、現地の会社に向かいました。
帰国は2日後なのでまた一流ホテルに戻りたいとお願いしていました。
すると、現地社長がきて、

「昨日はすごかったですね。」
「何がです。」
「えっ。知らないのですか。」

話は、昨日名古屋空港に台湾(?)から戻ってきた中●航空が着陸に失敗して墜落し 大惨事になっていたということを。

「えっ、じゃあ昨日の夢は...」

このことは、私の胸に秘め(なんとなく口にすると同じ運命をたどりそうで)2日後の帰国時、 名古屋行きの予定キャンセルして大阪行きに変更したのは言うまでも有りません。


<会社員さん>