すりガラス

 


学生の頃のアパートは、月15,000円のぼろアパートでした。

ドアは、ベニアの空けると ビリビリビリとしびれる様になり窓は木枠の開けるとガラガラガラと音が鳴る奴でした。その窓ガラスには、20×15cmのするガラス(曇りガラス)が数枚、木の枠に張り付けられていました。

ある冬の日、初雪が降ってきた夜、布団の中で天井をボーと見ていました。すると


「キィキィキィー」

とあのすりガラスを爪で引っ掻くあの嫌の音がします。ここは2階である為、部屋の中ドアのガラス等を調べ異常がないので再度布団に入りました。暫くすると、また、引っ掻く音がします。

「誰か、外で俺を脅かそうとしてるな」 そう思った自分は、ソーとドアところまで行き一気に鍵を開けドアを開き、

「誰だ。」

と大声を出し確認しましたがそこには誰もいませんでした。

”おかしい”少し不気味になりました。今度は怖いので直ぐ布団に入りました。すると、

「キィキィキィー」

また、音がします。今度は、布団の中から回りを確認しました。分かりました、窓の上側のある1枚のガラスに1本の指の様な物が上下に動いて音を出しています。ガラスは曇りガラスですが外の物体は雰囲気分かります。暫く見ていると人のかたちもぼんやり見えてきます。このままではまずいと思い、着替えもそこそこにアパートを飛び出しました。

その時窓の方を見ないように心に誓ったのですが見てしまいました。 窓の外に浮かんでいる女の人を。右手を伸ばして指一本で窓を引っ掻いているようでした。足下には、赤い中型犬が一緒にいました。

なんだたのでしょか?その後、この現象は起きませんでした。女の人も怖かったですが一緒にいた犬も幽霊のたぐいなのでしょうか。
あの犬が一番気になります。よく見えなかったのですが、あの犬特有の寂しそうな目が脳裏に焼き付いて離れません。