おじさんとの再会

2001/04/10


あれは、私がまだ高校生の頃でした。

私の親戚のおじさんが、病院で入院していて、もうあと命が残り少ないというときに、 なんだか急にそのおじさんに会いたくなりました。
おじさんには もう何年も会っていません。
唯一小さい頃に可愛がってもらった想い出があります。
なんだか、おじさんが私を呼んでいるように 思えて、さっそく次の日に、おじさんが入院している病院に向かいました。

翌日は快晴で、なんだか気持ちよく、電車に乗って目的地へ向か いました。
普通なら、慣れない土地に行くときというのは、途中で どこかに迷ったり、方向音痴になったりするのですが、なぜかそ の日は、スイスイと思うように、事が運びました。

しばらくして、 病院に着くと、玄関前でおばさんが待っていました。
そのときの おばさんの顔というのは、まるで長い時間、私を待っていたかの ような、疲れた表情でした。
そして、さっそくおじさんのところに向 かいました。
おじさんは、ベットに横たわり、呼吸器のようなものを していました。
見ていて、苦しそうでした。
おじさんは、そっと私の 手を握り、

「ありがとう」

と言ってくれました。
おばさんは、影で涙を 流しながらこう言いました。

「めったにしゃべらないのにね・・・」

おじさんの目からも、ぽろりと涙が流れでていました。
私は、おじさ んの体に手をかざし、『手かざし』という気孔の一種のようなものを しました。
それは、人の肩こりやからだのいろいろな痛みを治してく れるパワーで、唯一それが私にできることでした。

その次の日、 おじさんは亡くなりました。
それから、私はただの普通の生活に戻りました。
いつものように、自分の部家でテレビを見たり、ぼっと−としていると、突然、背後に気配 を感じ、後ろを振り向いてみると、そこに、白い人影のようなものが 目の前をすっーと通り過ぎました。
その過ぎる早さは、もうほんの一 瞬でした。
でも、今でもそれははっきり覚えています。
はっきりとした人 のかたちで・・・その出来事が起きた次の日は、おじさんの告別式でした。

あの人影はたぶん、おじさんだと今でもそう思っています・・・

以上です。石塚でした。


<石塚展久さん>