キツネの恨み

2000/12/10


夫の親戚に、二十歳を過ぎた女の子がいて、その子が

「奇怪な行動ばかりをする」

と 聞いた時、ああ、キツネだなと思いました。
なぜそう思ったのかは説明がつかないのですが、カンみたいなものです。
でも、私にはそれ以上のことはわからないし、まし てどうやったら離れてくれるのか方法がわからないので、親戚何人か連れ添って霊能者の所へ相談に行きました。
すると、

「稲穂稲荷の可能性がある。これは自分では手 に負えない」

と言われました。
稲穂稲荷というのは、農業や商売をやっている家のど こかへ稲穂とお稲荷さまを祀って、商売繁盛をお祈りするものだそうです。
お稲荷様 というのは一度お祀りすると、強烈に働いてくれてその効果は絶大だとか。
でも、 引っ越しとか、商売をやめたとか、後継者の代になって、お稲荷様のことなど忘れぞ んざいな扱いをしたり、放っておくとその恨みというか罰もすごいらしく、子孫の何 代かまでは確実にたたると言ってました。

親せきの子の親の話によれば、昔はそうとうお金持ちだった家だったらしいのです が、今はすたれてしまって、農家だった頃に確かに

「稲穂稲荷」

を祀っていたというのです。
そして今はそことは別の場所にすんでいるので、あれはどうなったかはわからない、とのこと。

結論から言うと、霊能者からは

「手に負えない」

と言われ、別の霊能者に電話をかけまくり、予約が半年先まで入っていると断られ、暴れ方がピークに達した頃、結局、救急車を呼んで神経科へ入院することになりました。
その女の子だけでなく、兄の方まで。

今、二人とも三十前後ですが、仕事もせずに入退院を繰り返しています。  
そのころ、暴れる兄弟が手に負えないので、私や夫やほかの親戚も交代で泊りに いったことがあったのですが、寝ていると、部屋に洗濯物干しがかけてあって、(洗 濯バサミがたくさんついてるタイプ)その洗濯バサミがひとつだけゆらゆら揺れてい ました。
私は怖くなって、夫を起こし、それを見た夫が隣の姉を起こしこともありま した。
あれはいったい何だったのか。
それから、そのキツネのついたとおぼしき子は、普段まったく運動しないのに、両足を揃えてキッチンの流し台へポーンと飛び 乗ったりしました。
そしてニタッと笑うのです。
あれにはびっくりしました。
まさに キツネのように軽やかに飛ぶのです。

その騒動からしばらくして今度は、その子の祖母にあたる人が風呂場で煮えたぎったお湯に顔を突っ込んで亡くなる、という悲しい 事件まで起きてしまいました。
人の霊は供養をしたり、子孫が良い行いをしたりし て、ある程度は成仏の方向へ持っていけるのだそうですが、キツネの恨みをいったんかってしまうとお詫びを言っても説得しても聞き入れてもらえない、一度たたると決 めたらたたる、そうです。

商売か何かでお稲荷さまを祀っている方がいらしたら、くれぐれもいつまでもきちん とお祀りしてほしいなと思いました。
でないと・・・・、あとが大変かもしれません。


<グレイスさん>