大涌谷

2000/11/13


このお話は、嘘のように感じるかもしれませんが紛れもなく事実です。
この時の恐怖は他に比べようもありません。

それは、晴れた初冬の日でした。
絶好の行楽日和だったので友達と2人で箱根までドライブに行きました。
季節も行楽シーズンという事もあり、かなりの混雑でしたが無事、芦ノ湖までたどり着きました。
のんびりとボートに乗ったりして楽しい時間を過ごしていたのですが、友達が、

「ほら、黒い卵が有ったじゃない。あれ買い行きたい。」
「えぇ。もう3時半だよ。そこの売店に売ってるじゃない。」
「だめだめ、やっぱりあの煙が出てるとこじゃなきゃ。」

と言うことで大涌谷まで行くことになりました。
大涌谷は、箱根火山の名残をとどめている神山爆烈口の遺跡で地獄沢と閻魔台との2つに区別されるそうです。
確か、かながわの景勝50選の一つです。

かなりの勾配を上がって進んで行くと駐車場に着きました。
駐車場には何台かの車が止まっています。
この時は4時を回っていた為、ほとんどの人たちは麓に向かって帰り始めていました。

「早く行こう。」

売店で黒い卵が売っていました。 購入後、

「チョット上まで登らない。」
「もう遅いんじゃない。」
「大丈夫だって。せっかく此処まで来たんだから」

と強引に駐車所から更に歩いて山の上に向かいました。
終点にはモクモクと湯気を上げている所があり硫黄の匂いが鼻をつきます。
辺りはだんだん暗くなってきました。
私は内心焦って、

「暗くなって来たから帰ろう。」

と友達の手を掴んで駐車場に降りて行きました。
車に乗ったときは、かなり暗くなっていて少し霧もかかってきました。
急いでエンジンをかけ下り始めました。

「何か、車いなくなっちゃったね。霧が出てきたから気を付けてね。」

と友人は心配そうです。
確かに視界が悪く周りの木立だけが不気味によく見えていました。

その時です。
ルームミラーから後ろを見ると人影が見えました。
よく見ると、スキップをしながら追いかけているようです。
運転中のため前が気になりますがよ〜く確認すると、男の人が指を鳴らしながら車の後を追いかけてきます。
丁度、ウェストサイド物語の映画のワンシーンと同じように指を鳴らしてスッテプを踏んで追いかけてきます。
その時は、視界が悪いので、30キロ以下で走っていました。

「ねぇ、誰か着いてきてる。」
「えっ。」

と友達は直接振り返り確認しました。

「やだぁ〜。気持ち悪い。」

私も怖くなり危険を承知でスピードを上げました。
タイヤの悲鳴にお構いなく、後ろを見ない様に大急ぎで芦ノ湖までたどり着きました。

そこまで来ると人気も有り、

「あぁ〜。よかった。」

と一安心しました。

「さっきの奴さぁ。ウェストサイド物語みたいに指鳴らしながら来たね。」
「そんなかっこよくなかったっよぉ〜。ほら、あの人。え〜とっ。”ポー○牧”そう指パッチンの”ポー○牧”だったよ。」

そう言われてみればそうだったような気がします。
あれは、”ポー○牧さん”だったのでしょうか。
”ポー○牧さん”ってまだ生きてますよね。
本人だったのでしょうか? 

でも、指を鳴らしながら時速30キロの車にスキップでついてくるなんて人間業ではないですよね。
まさか ”ポー○牧さん”の生き霊...。
最近は余りTVで余り見かけないけど、TVで見たらあの時の事を思い出しそうで嫌だなぁ。

箱根と”ポー○牧さん”って何か関係があるのでしょうか。
誰か教えて!!!


<ポールさん>