遅かったね。

2000/11/01


雛人形の話なんですが..。

子供の頃、毎年楽しみにしていた雛祭りですが、高校最後の年くらいになると受験勉強、その後、大学進学などの理由により雛祭りもお祭りしなくなりました。
必然的に雛人形も押入の片隅でしまわていました。
その後、就職、結婚を経て娘を授かりました。

「あぁそうだ、私の雛人形を実家から持ってくるね。」

と実家に戻って雛人形の行方を母親に聞きました。

「暫く出して無いけど、押入に入っているはずだよ」

とその押入から古びた(そんなに古びていないが)雛人形の入った箱を簡単に見つけました。

「久しぶり。何年ぶりだろねぇ。」

箱を開け、人形を取り出し人形が包まれている紙をはずしました。

「何これぇ〜。」

お雛様の方は、顔が右側に90度曲がっていました。
お内裏様の方は、腕がグニャッ曲がっていって口元が裂けていました。
どちらも、

「苦しい」

と訴えている苦悶の表情に見えました。

「こりゃ駄目だね。でも、一度も空けてないのにこんなになるかねぇ。」

と母親は言っていました。
確かに、修復不可能な状態でした。

私は、諦めて人形を元の場所に戻し、部屋を出ようとしたとき

「遅かったね。」

と聞こえた気がしました。 母親も驚いた表情で、

「今なんか言った?」

と今の声を聞いたようです。
ちょっと怖くなったので、その後、近所の神社に相談してその人形を神社にお納めしました。

それからは、仕舞われたままのものがないか注意しています。

特に人形は..。

<○実さん>