魔力

2000/10/11


久しぶりです。

前回、”喫煙”を投稿した 青年A です。

お約束通り夜の幼稚園での不思議な体験を投稿します。

お墓の一件があってからも場所を変えての喫煙は続きました。
よく行っていたのは、近所の幼稚園です。
友達3人で、幼稚園の門を乗り越え園児が出入りをしている園庭に面している教室の前の廊下でタバコを吸っていました。
中学生にもなると色気づいてきているので猥談や気になる女の子の話などをしていました。
その頃は、”週間ポ○ト”のグラビアにも心ときめいた頃です。

「シーッ。おい、なんか聞こえないか。」

3人は、まんじりともせず聞き耳を立てていました。
3人は気が付きました。
どうも、聞こえてくる声は、女の人の艶めかしい”あの”声の様です。
3人同時に顔が緩みました。

「おい。へへへっ。」

言葉を交わさずとも次の行動は分かっています。
3人は、音を立てない様に慎重に声の主を探索にかかりました。
3人の顔は期待と興奮に緩みっぱなしです。
慎重に、慎重に声の方向に進みます。

かなり、声の近くに来ているようなのですが、一向に目的の光景に出会いません。
1人が物凄い小声で、

「いないなぁ。この辺から聞こえてこねぇか。」

その時、もう1人が、

「あっ!」

と声にならない声を出して前方の国旗掲揚のポールの上を指さしました。

そこには、ポールの先端に立っている裸の女性が3人を見下ろしていました。
その姿は...。(メールでは書けません。)

初めてみる光景に見入ってしまいました。

数十秒、いや、数秒かも知れませんが、

「はっ、まずい!」

と感じた私は、チョット残念でしたがそれ以上に危険さを感じ 食い入るように見入っている残りの2人の腕を引っ張ってその幼稚園を後にしました。

「スゲェー、初めて見たよ。」

感動している2人に、

「お前ら、あんなとこにいる女だぞ。この世のもんじゃねぇぞ。」
「でも、あの女なら俺は死んでもいい。」
「馬鹿野郎、何言っているんだ。」

その後、夜の幼稚園は絶対に行かないことを誓って各家に戻りました。

次の夜も3人は、別の喫煙場所を見つけて(懲りません。)夜の遊びを満喫しました。

一つだけ心配なことが一時期ありました。
いつもの3人のうち、1人が夜の喫煙会への付き合いが悪くなってきたのです。
学校で問いつめると、あの夜の事が忘れられずあの幼稚園に通っていたそうです。
しかし、あの夜の女性は2度と現れなかった様です。

3人とも目撃しているので、夢や幻ではありません。
今思うと、若い男の心理を突いた幽霊(?)の様です。
あの夜の事が忘れられず幼稚園に通っていた友達は、ある種の魔力にかかっていたのでしょう。

「1人で通っていた時、何もなくて良かった。もしも、あのまま通っていたら...。」

とちょぴり残念そうに言っていました。


<青年Aさん>