来ちゃったね!

2000/10/04


今までに2回怖いと思った出来事の一つを書きます。

少々長くなります。    
今から9年前になります。
東京都内某区に於いてモックアップモデル製作を生 業としておりました。
其の会社は社長、社長の息子(専務)、従業員は自分を含めて4人と云うところ でした。  
作業場は2階建で、1階は休憩室、大型の作業用機械とトイレ、2階がメイン の作業場になっていました。  

9月の終わり頃の事です。
残業のために従業員だけで夕飯を食べに行きまし た。
其の時にきっかけは忘れましたが幽霊が見える見えないの話になったので す。
従業員の一人に霊感が強い人(Iさんとしておきます)が

「作業場にも居る よ」

と事も無く云ったのです。

実は入社して1年少々しか経っていなくて、見ていたのですが云えませんでし た。
見えるといっても影のようなもので性別がわかるという程度でした。
このこ とを話すとIさんがどこに居たと聞いたので。

トイレの便座の上のところに足がぶら下がっている。
其の真上床を突き抜けて 2階の階段踊り場に上半身がある。
其れと大型機械の壁のほうに蹲っている。
作 業場の1階出入り口の外側に立っている。

と言いました。
しかも全部男の人です。  

Iさんは

「ほら、居るじゃん」

といっていましたがほかの二人は信じてないよ うでした。  

其れから、作業場に帰って云った場所を見ていましたがIさんと自分は確かに 見えているのですがほかの二人には見えないようでした。
 
其の後12時頃(勿論残業当日の)専務が

「夜食を食べにいこう」

と云ったの で近所の屋台のラーメンを食べに行く事になりました。  
作業場を出てすぐ目の前のアパートの壁一面にデカイ影が見えたのでIさんに 向かって

「あれ」

と壁のほうを指差しました。
他の二人はまた言ってるよという 顔をしていましたが専務が

「あの染みみたいなのがどうかした?」

といったとき には他の二人は黙ってしまいました。  
商店街に出て歩いていると、ある一軒の家の二階の窓から女性が居るのが見え ましたが窓は閉まったままで其の女性の体から透けて見えていました。  
また少し歩くとパチンコ屋があるのですが、シャッターの向こう側(店内)か らものすごく厭な感じがしてきました。  

Iさんが

「其処はかなりヤバイから近寄らないほうがいい」

と云いました。  
無事にラーメンを食べ終わり作業場に帰ったのですが、途中女性と猫がついて きました。
勿論生身ではありません。(窓から覗いていた女性とは別です)  

後一時間くらい仕事をしようということになって作業をしていたらIさんが

「女の人と猫来ちゃったね」

と云いました。
猫はずっとIさんの傍で眠っていま したが女性のほうはどこかに居なくなってました。  

仕事も終わり、帰ろうかというときには2時近くになってました。  
自分とIさんはバイク通勤だったのでバイクで帰ったのですが、Iさんのリアシ ートに猫が乗っているのが見えました。
教えようかなと思ったときにはIさんは すでに走っていてましたがチラリと此方を見た ような気がしました。  

商店街を抜け、大通り(国道)に出ようと思い右折するために信号待ちをして いたら、背中一面鳥肌が立った様にザワザワとした瞬間、

「後ろに女の人が居る」

と感じました。  
バックミラーを見ると白いモヤモヤが見えました。  
信号がかわった途端に、フルスロットルで右折をして国道をすっ飛ばしていき ました。

「ついてくるなよ」

と思いましたが、残念ながらついてきました。  
バックミラーで後ろを見るとやはり白いモヤモヤがついてきています。
時速は 100キロは超えています。
100キロで走れば家まで5分くらいでつくのですがあま りの恐ろしさで時間の感覚がなくなったのでしょうか周りの景色は同じなのです が家に着く感じがしないのです。  

後ろの女の人はジリジリと距離を詰めてくるようでした。
其のときには捕まっ たら必ず死ぬと思いさらにスピードを上げましたが乗っていたバイクがセローだ ったのでメーター振りきりで120キロ出すのがせいぜいでした。  

が、それでも距離が開かずもうだめだと思ったときいつも家に帰るときに使う 路地が見え、事故っても死ぬよりましかなと考えながら、ホンの少しだけ速度を 落としてリアを滑らせながら曲がったら一瞬にして気配が消えていました。

「助 かった」

とおもいバイクを止めてほんの少し休んでから家に帰るためにもう一度路地を曲がりました。  
其処はかなりきつい坂道でしたのでゆっくりと下っていたのですが、坂の一番 下の電柱の脇に影が見えたときは先回りされたのかと思いゾッとしました。
しかし、男 の幽霊だったので安心しました。  

仕事場を出たのが2時少し過ぎで家についたのが3時半近くになってました。  

あまり眠れないまま仕事に行くと、Iさんが先に来ていて、

「昨日女の人連れて帰ったみたいだけどなにもなかった」

といきなり聞かれたの で、体験したことを話しました。  
Iさんは

「やっぱり・・・」

といったきり少し黙った後、

「家にも猫がついて きて夜中じゅう煩かったけどそっちよりましか」

と云いました。  

其のうち他の二人がきたのですが、其の一人が

「昨日帰り際にバイクの後ろに白いモヤモヤがついてたけどあれ何?」

と聞いて きました。  

後から聞いたのですが専務も見えていたそうです。  

この話はかなりの友人に話したのですが其のとき一緒に働いていた人達しか信 じてくれませんでした。  

長くなりましたが以上が怖いと思った出来事の一つです。

では何かありましたらまた。

< jun1さん>