帰宅

2000/08/31


最近の話です。

叔父が亡くなった夜の事です。

容態が悪化した旨の連絡が病院から入り病院へ向かいました。
病院からは、

「合わせたい人がいたら連れてきて下さい。」

と言われた為、小さな子供達も連れて病院へ向かいました。
何時間か生死を彷徨う状態が続き時間は23時を過ぎていました。
少し容態が安定したと言うことで小さい子供達を家に帰す為に一度帰宅する事にしました。

子供達を家で寝かせつけた後、私は叔母に頼まれて叔父の家で飼っている犬の世話(食事や散歩)の為、その家に一人向かいました。
叔父の犬は、小型犬で歓迎するのか威嚇しているのかは分からないが、

「ギャンギャンッ、ギャンギャンッ」

大騒ぎをします。
その夜も私が家に行くと大騒ぎをします。

「ギャンギャン(早く散歩に連れて行け!)」

と泣き叫びます。
その時、ふとっ思ったのですが2階で風音がします。

”あっ。窓が開けっ放しだ”

と思い2階に上がりました。
2階に上がると案の定窓が開いてる部屋が有りました。
その部屋に入って気が付きました。
散歩に連れて行くまで大騒ぎをする犬の声が全くしません。
シーンとしています。

”おかしいいなぁ”

と思いながらも窓を閉め1階に戻ろうとした時、

「キュイィィン。アオォォォン。」

と今まで聞いたこともない気味の悪い声でひなっています。

誰も居ない深夜の家ですから少し気持ちが悪かったので犬の所まで行くと、さっきまで大騒ぎをして私の足に絡みついていた犬が小さくなって自分のカゴの中でおとなしくしています。
まるで誰かに怒られ後の様に..。

その後、犬の世話を終え病院へ向かう途中、

「叔父さんがさっき亡くなった。」

と携帯電話が入りました。

病院から葬儀場へと事務的にそれらの手続きが葬儀社の人たちにより行われるのを見ながら、

「そう言えば、...」

と叔母に犬の話をすると

「お父さんが家に帰ったのかねぇ。づっと病院だったから。」

叔母が言うには、その犬は叔父が非常に可愛がり犬の方も叔父に良くなれていました。
叔父の一喝で大騒ぎも直ぐに止め自分のカゴに入って反省する様な犬だった様です。
しかし、私が聞いたあの切ない様な鳴き声は叔母も知らないと言うことでした。

この様な話で、”その時間と叔父が亡くなった時間が丁度同じだった”というのが多いのでしょうが私の経験した時間は、まだ、叔父が亡くなる前でした。

しかし、その時間、今までの苦しい容態が嘘のように眠った様な状態だったと言います。
この黄昏時に、何ヶ月も帰っていない家に帰り、可愛がっていた犬と合ったと私と叔母は思っています。

また、翌日、急を聞いて親類縁者が通夜の前に葬儀場に訪れました。
ある叔父さんは、

「大変だったな。昨日の夜中電話してくれたか?電話に出た途端切れてしまったんだ。」

また、ある叔母さんも

「ごめんね。電話に出れなくて。」

とその人達は、午前2時頃電話の呼び鈴が鳴ったと口を揃えて行っていました。

その叔父や叔母達はその場では合っていませんから1人の話を聞いて

”私も!”

という事では有りませんでした。

やはり、何か知らせていたのでしょうか....。


<マコさん>