雲海

2000/08/21


初めての海外旅行の飛行機での話です。

初めて乗る飛行機に大はしゃぎで窓の外を飽きることなく眺めていました。
視界より上は、真っ青な大空。眼下には本当に綿を引き詰めたような雲海がそびえていました。
太陽光は、下界で見るそれよりも強く金色の輝きを放っています。

「すごいな。綺麗だな。壮大だな。」

と変化の無い風景でも飽きることなく見ていました。
眼下の雲海は壮大な雲の海原で、その雲の畝の間から何か出てきそうな感じがしていました。

その時です。”チラッ”と何かが見え隠れしています。

「何だろう。」

と目を凝らして見ていると自分の目を疑いました。

「そんな訳がない。」

自分に言い聞かせますが確かに見え隠れています。
壮大な雲海の中に見え隠れするもの。

それは、尻尾の先だけしか見えませんが空想の生き物と知られている、

”龍”

のそれとと酷似したものでした。

尻尾と言っても巨大な大きさです。

「尻尾、尻尾。」

大騒ぎして連れの友達を引っ張って無理矢理窓の外を覗かせました。

「何にもないよ。」

再び、覗いた雲海は真っ白の雲がひしめき合っているだけでした。

人間の踏み込めない領域にいる生き物。
昔の人は、見ていたのでしょうか。(絵とかが残っているから)

確信しています。

”想像上の...。”と言われていますが、実際には人間の気が付かないところに隠れ済み、何かの時にその姿を現す生き物がいることを。


<toriさん>