錦ヶ浦

 


  静岡県の熱海を伊東方面に向かって車で移動すると2つ目のトンネルの手前を左に入る道があります。この道は、2つ目のトンネルがなかった当時は海面まで数十メートルもある断崖絶壁に沿って伊東方面へ向かう為の道でした。この場所(崖下の海)を錦ヶ浦といいます。
ここは、自殺の名所で、不幸にも投身自殺をした方々は海流に乗り、川奈、富戸、または、下田方面まで流されて行きます。

 20数年前、私達は男女二人づつ2カップルで深夜、肝試しのために錦ヶ浦へドライブに行きました。
女性は二人とも小柄な子達で、私達は大柄な体の二人でした。私は体は大きいのですが、お化け、幽霊は、大の苦手で本当は行きたくなかったのですが、みんなの手前現地に着くと崖から下を見てみようと提案しました。

女性二人は、嫌がったのですが「俺達がいるから大丈夫だよ。」と言い外に連れ出しました。
女性二人は”きゃーきゃー”騒いでまんざらでもない様子でした。崖からみる海は真っ黒でなにも見えませんでした。

数分経って、帰ろうということになり車に戻ることにしました。途中一人の女性が、「帰りたくない。」と言って崖の方に戻ろうとします。私達3人は「へ!」と言う感じで、何を言っているのか理解できませんでしたが何かまずい予感がしてその子を引き留めました。だが、私達の手を振りほどこうとするので2人でその子の両脇を抱えて連れ戻そうとするのですが逆に男二人が子柄な女性に引きずられてしまう格好となりました。
私達は、「お前、足を持て、俺は前を持つ」という言って嫌がる女性をやっとの事で車に連れ戻しました。だが車の中でも「呼んでるの」等の事をわめきながら車の外へ出ようとします。私は、もう一人の男に「押さえていろよ」と言い車を出しました。本道(国道135号)までは数十メートルですが、本道へ出るまで「おい、早くしろ。俺一人じゃ押さえきれない」と根お上げるほどの力で抵抗します。
だが、本道へ出たとたんその女性はぐったりして眠ってしまいました。

車の中で一息つき伊東方面に向かいました。車の中で「何だったんだろうね」と話していると、もう一人の女性が「あの時、私も聞いたの。海の方から、おーい、おーいと呼んでたの。そして、崖のガードレールがものすごく揺れてたの。よく見えなかたんだけどガードレールの上に無数の何かがのっていたの。人の手みたいだった。。。 」